アオハル紙飛行機





「アオのお姉さんも絶対美人さんでしょ」

『自分の姉貴のことめっちゃ美人!って褒める弟なかなかいなくね?』

「そう?アオってマザコンシスコンっぽいし」

『何それいつどこでそれになったの』

「なんとなく。見た目?」

『俺の見た目相当ハンデ背負ってるわ。つら』






はあー、と半目で溜息を零すアオを見上げて小さく笑う。その容姿でハンデなんてほざいたらそこら中の人間に踏み倒されると思うけどな。なんて思いながら。




アオは少し考え込むように下唇を噛み、視線を上にするとぽつりぽつり、と頭に浮かんだことを吐き出していく。





『姉ちゃん俺の部屋にめっちゃ私物置いてくんだよ。真奈美ちゃんもそうだし』

「だからアオは頭イかれちゃったのね」

『いやいやいや馬鹿野郎。俺はいつだって頭冴えまくり一途爽やか青年ですけど』

「・・・・・・」

『無言はやめよう俺死んじゃうから』





家族仲良しなんだろうなあとアオを見て思う。きっと、そうじゃなきゃ、愛情たっぷりに育てられなきゃ、アオみたいに素敵な馬鹿に成長しないと思う。アオ自身と、その周りのおかげで、アオは沢山の人を知らずのうちに救ってる。





『てかさー、こないだの進路相談で担任に「素敵な旦那さん」って言ったらめっちゃ怒られたんだけど、なんで?』

「なんで怒られないと思ったの」

『だって女子が「素敵なお嫁さん」って書いたら可愛いなあって笑われるじゃん。そのノリで』

「アオはお嫁さんって書い方が怒られなかったと思うよ」

『そっちか!』





けたけた笑いながら買ったクレープを食べる。故原くんと夏子を待っていれば、周りの女の子達がアオを何度も見てひそひそ話しているのがわかる。



勝手に持て囃されるアオは隣でクレープの生クリームを口の横につけて無表情でもぐもぐしている。





< 333 / 421 >

この作品をシェア

pagetop