アオハル紙飛行機






変な沈黙に、先程のアレを思い出して慌てて何でもいいからとアオに話しかける。





「あ、充電私もさせてもらってる!」

『おー』

「・・・あ、ねえ、カラオケできるみたいだよ!やらない?歌おうよ。」

『やだ寝たい』

「私の美声聴けよ」

『ジャイアンが何言ってんの』





またすぐに沈黙が生まれる。アオは本当に眠いのか髪をタオルで乾かしながら私の方を全然見ない。今の私に沈黙はとても辛い、なんて。アオと今まで部室でもどこでもあれだけ沈黙が心地良いと思っていたくせに。





「そういえば!夏子から連絡きて、明日朝5時だって。待ち合わせ場所は散歩中にすぐ連絡するって」

『わかった。じゃその前にここ出れば大丈夫だな』

「うん・・・あ、あのさあ、」

『ハル、なに無理してんの』

「え?」





アオの声がそっと私に放り出される。やっぱり声だけだ。ソファーに浅く座って前屈みのアオは少し俯きがちで私の方を見ようとしない。





『・・・変に緊張しなくていいし、明日に備えてさっさと寝ろよ』





寝られるほど緊張感がないなら、こんな変な気持ちになることもないんですけど。できないから困ってるんですけど。私と違って余裕綽々なアオに腹が立つ。






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