アオハル紙飛行機






とても仲良しな2人の姿を遠目から静かに眺める。やっぱりあんなに素敵な笑顔を浮かべるのは彼女さんにだけなんだよなあ。お似合いだよなあ。



そんな2人を眺めつつ、隣のクラスに足を踏み込めばいきなり聞こえてくるそんな会話。







『青井くん、義理チョコ!』

『あ、どうも。お返し倍返しとか言わないよね?』

『えー?どうしよっかなあ』

『その笑顔怖いからやめてくれない?』








条件反射。その名前に、その声に視線を向ければ、数人の女の子に囲まれて相変わらず無表情な顔でチョコを受け取るアオ。




久しくちゃんと見つめたその姿に、目を逸らせずにいる。そうして、その光景に、何処となく胸がざわついて、逸らしたくなるのに中々逸らせない自分に苛立つ。








『青井くん、最近春井さんといないよね?』








私に背を向けて私の存在に気づかない女の子達はアオに無邪気に問い掛ける。そこに小さく詰め込まれている恋心に気づけるくらいには、私だって女子だ。






アオは一瞬、誰にも気づかれないくらいに身体をぴくり、と反応させた。しかし、すぐに冗談めいたように軽く笑って誤魔化した。






< 363 / 421 >

この作品をシェア

pagetop