アオハル紙飛行機
いつかレギュラーになりたいと思ってはいた。でもまさかこんなに大人数いる野球部で、1年で、初めての大会でレギュラーになれるなんて思っていなくて、やっぱり浮かれそうになる気持ちを必死で押し込めた。
片付けを終え、先輩達が着替え終わるのを部室の外で待つ。先輩全員が着替え終えて部室から出てきたら挨拶をして1年が中に入る。それがルールになっていた。
今日も昨日と同様、1年で先輩を待ち、出てくる先輩に挨拶をする。
「お疲れ様です!」
『・・・・・・』
「(あ、れ?)」
いつもなら、軽い返事や態度を返してくれる先輩が何もしてくれない。しかも、俺だけに。返事をしてくれないどころか、俺を見る瞳は嫌悪に満ちている。
勘違いだ。きっとそうだ。そう思いながら、ひたすらこんがらがりそうな頭で兎に角出てくる先輩達に大きな声で挨拶をする。
「お疲れ様です!」
『──・・・調子乗ってんじゃねえぞ』
「ッ、」
最後、部室から出てきたのは今までずっとファーストを守ってきた篠田先輩だ。俺の顔を一瞥した篠田先輩は怒りに満ちた眼光で俺を見下ろし、低い声でそれだけを零すとさっさと行ってしまった。