アオハル紙飛行機






言葉が胸に突き刺さることなんて現実ではありえないけど、本当に突き刺さったって例えるのが正しいくらい。そんな衝撃だった。



真剣で何処までも真っ直ぐな女の子の声。


それは開いた窓から入り込んできて、目を細めて見ればカーテンに2人のシルエット。





『泣いても意味ないもん』

『そ、それは泣いてから決めなよ!』





弱ったような声を落とす女の子の声に、励まそうとする一生懸命な女の子の声が交差する。

彼女達が大きな声で話しているわけではないのだが、あまりにも静かな保健室では声がダダ漏れだ。







『だって、泣いたって今の状況変わんないもん。泣いてどうにかなるもんじゃないってこないだ部長に怒られたし、』

『違う!私が言いたいのはそういうことじゃない』







この子達も、部活絡みで何かを抱えているのかなと思う。だが、まだこうやって相談できる相手がいるのは幸せだなあと勝手に感想を滑らせる。






『私は、えっと、あのねー、あれそれほら、あのさ、』

『・・・全然わかんない』


『私は──・・・状況とか周りとかそんなのは一旦忘れて、自分のために泣きなよって言ってるの!』






彼女の言葉がまるで自分に向けられているようだった。心にストン、と今までずっと忘れ果て、枯れ落ちていた優しいものが俺の真っ黒で空っぽな心に落ちて、沁みる。








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