アオハル紙飛行機
『泣いて全部泣き切って、"よく頑張った自分"って褒めてあげよう。私の全財産20円叩いて帰り風船ガム驕るよ!』
『ふはっ、別に要らない』
『え!なんでよ!美味しいじゃん風船ガム!』
元気な子だなあ。どんな顔をして、どんな瞳で、隣の彼女を励ましているんだろう。そして俺を、勝手に地獄のそこから引き上げようとしてくれているのだろう。
そんなことを思いながら声が流れてくる方を眺めていると、強めの風によってカーテンが大きく揺れて、2人の女の子達の姿が見える。
後ろ姿しか見えない女の子の隣。彼女を必死に見つめる目力の強い女の子。両手で1枚ずつ10円玉を輝かせて真剣な顔をするとても健気で強い表情。
その時、俺の視線に気づいたのかこちらに顔を向けた彼女と、目が合う。
驚いたような顔をする彼女をやっと感情を取り戻し始めた俺はゆったりと眺める。
次の瞬間、彼女が、にかっと、太陽みたいに笑った。