アオハル紙飛行機







「邪魔ー。ほんと邪魔ー」

『まあまあ、アンタも読んでみなよ。面白いんだよ?』

「へえーあっそう、ふーん」

『うわ、露骨に嫌な顔しやがって』






カーペットの上に座り込んで俺のベッドに寄り掛かかる姉は適当に少女漫画を一冊取って俺に何かしら勧めようとしてくる。




俺も気を紛らわせたくて、でも姉に相談なんてしたくないので、適当にその辺にあった少女漫画を一冊引っこ抜いてパラパラ捲る。








するとそんな俺に気づいた姉は表紙を見て、楽しそうに笑う。うわ、こいつらみんな目でかいなあ、ほっせえな。







『それ面白いよ』

「へえーどのへんが」

『主人公の真奈美ちゃんが本当に一途でさあ、ずーっと先輩のこと好きで好きで追いかけ続けてんの。健気で一生懸命で、でも先輩には気づいてもらえなくて』






それに今日の放課後の出来事がフラッシュバックする。俺があそこで見る限り、彼女はひたすらアイツだけを見てて、アイツは多くの部員から「先輩」と呼ばれていた。





あー、これで、主人公と先輩がくっつく少女漫画になるんだ。あっそう。






と。パラパラと少女漫画を捲っていれば、先輩以上に多く主人公の隣に描かれる男の子。







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