アオハル紙飛行機








「コイツは?」

『ん?あー、瀬野くんね』









その男の子を指差して姉に尋ねれば、切なそうに瀬野とやらを見つめる姉。よくまあそんなに感情移入ができますね。







『残念ながら瀬野くんは、当て馬』

「当て馬?」

『そうそう、当て馬。真奈美ちゃんの事が好きなんだけどねー、協力しちゃうの』

「へー。意味わかんない」






出来た男だなあなんて、瀬野を見つめる。でも主人公の後ろ姿を切なそうに笑う瀬野に、おい頑張れよなんて勝手に俺も感情移入。








『好きな子のためなら何でもできるんじゃない?その子に笑って欲しいから的な』

「・・・・・・瀬野に勝算あるの?」

『ないでしょ』

「・・・ふーん」








ごろん、とベッドの上に寝転がって少女漫画を読み始めた。その脳裏に浮かぶのはやっと再会できた女の子。








彼女と何も接点のない現時点で、ただひたすら、ひたすら彼女の傍にいられる方法だけを、考えていた。







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