アオハル紙飛行機







それでも俺は、どこか欲深い人間だから。










『───君がいつか思い出してくれたら』

「え?」

『なんでもない』

「もう、今勝部先輩見るの忙しいんでやめてくれます?」

『はいはいゴリラ観察頑張って』

「ゴリラじゃねえーよ」








想うだけの気持ちはもうハルに会えない間に溜め込みすぎた。いつ溢れ出してもおかしくない。






だけど、ハルが俺の隣で笑ってくれるなら、そんな日々が続くなら。









俺はどんなことだって、ハルのために隣に、傍に居続ける。それで、たまに。






窓から入り込む風に
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弄ばれる柔らかな長髪を
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ほのかに染め上がる頬を
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ずっと、ずっと見てたんだ
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少女漫画を読む振りをして、いつも、ハルのその後ろ姿を見ては、こっち向けよって思う度に、










パチ、








ありったけの恋心を込めて風船ガムを音を立てて割っていたみたりしたんだ。










当て馬にしかできないことだってある
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