アオハル紙飛行機
『大大大・・・』
「は?何やってんの」
アオは必死に左の手のひらに『大』と指で書いて口に運んでを繰り返している。それをやるなら『人』だと思うんだけど。
「1本多いんじゃないの」
『え?あ、そ、そっか。犬犬犬・・・、』
「いやなんで増えてんのよ。ほら行くよ」
『ああああ、ままま、待っ、』
もう面倒になったのでアオの手を取って舞台へと出る。広々とした体育館には1年生と部活に入っていない2年生だ。他の2、3年生は部活動紹介組で、帰宅部の3年生は自習である。
生徒会の子にマイクを1つ手渡されて口元に近づける前に唾を静かに飲み込む。目下には私たち2人に注目する大勢の生徒だ。
「こんにちは。私はアオハル部、部長の2年、春井 青海です」
自己紹介くらいなら出来るかなと思ってちらりと隣のアオを見れば、何故か私と腕がぶつかるほど近い距離でめちゃくちゃ姿勢良く立つアオ。
そしてその目はもはや天井である。こいつ本当に顔だけだな。
「・・・隣の青井 紫春くんが副部長で、部員2人の部活動です。活動内容は基本的には生徒皆さんの悩み相談や、簡単な依頼等を受け付けて解決する、といったことです」