アオハル紙飛行機












─────────・・・こつん、











その時、後頭部に軽い衝突物を感じて、無意識に振り返る。零れる涙なんて放ったらかして、あたりを見渡すがそこには誰も何もいない。








視線を下に落として、思考が停止した頭で、ゆっくりとそれを考えるよりも先に拾い上げる。







そこには1つの紙飛行機。それを眺めた時、俺の瞳から落ちた涙がそこにじんわりと染みて小さな弱さをつくる。







“あの時”のことがフラッシュバックして、視線を持ち上げようとした時、突風が吹く。思わず顔を下に向けてその風が止むのを待った。







そうして風が止んで、顔を上げた先に広がるのは、いつも通りの景色とは違う、ほんの僅かにだけ見ることができる、そんな景色だった。







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