アオハル紙飛行機








勝部先輩に私の名前を呼ばれた瞬間、1本の赤い糸がぷつん、と切れた。残ったのはたった1本、あの人に繋がるだけの赤い糸になる。






真っ直ぐと勝部先輩を見つめ、今まで蓄積してきた想いを全部全部、ひとつひとつ、吐き出して吐き出して、出し切って、空っぽにする。









「勝部先輩が、大好きでした。頑張ってる姿に、私もずっと励まされていました。心が締め付けられました。きっとこんなにかっこいいと思える先輩に出逢えることなんて一生ないってくらい、勝部先輩は私にとってキラキラした存在です」









勝部先輩は初めて聞く私の本当の気持ちに、驚いたように目を見開いて、ただ静かに私の瞳を見つめ返してくれる。






もう、勝部先輩に言い残すことは、何も、ない。あとひとつ、きちんと目の前の彼に言い切って私の気持ちにさよならを言おう。








「───・・・勝部先輩は、ずっとずっと私の“憧れ”だったんです」








『憧れ』と『恋心』を間違えてしまっていた、そんな私にさよならを。




勝部先輩を“好き”である気持ちに何も嘘はない。ただそれは、憧れであり、決して恋心ではなかった。勝部先輩に名前を呼ばれた瞬間、勝部先輩に伸びていた赤い糸は、当然の如く、ぷつん、と切り離された。








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