アオハル紙飛行機
部記録その4
ダブルとシングルじゃ雲泥の差
『彼女との初デートを絶対に絶対に成功させたいんですお願いします!!!』
1人用のソファーに腰掛けてガバア、と深く頭を下げる男子生徒。丁寧に折られた紙飛行機を私たちに差し出す彼は、3年の遠山 李寅〈とおやま りとら〉先輩だ。
『けっ、リア充の手助けなんて心からしたくねー』
「アオ黙れ」
唾を吐き出しそうなほど綺麗な顔をこれでもかと歪ませて嫌な顔をするアオの頭をパシ、と叩けば容赦なくやり返してくる。こいつマジで男か?「レディーファーストって美味しいの?」ってガチで言うタイプの人間だ。
2人で睨み合いが始まると「あの、」なんて気まずそうに話を割ってきた遠山先輩の両手にこれまた丁寧に収まる物。
『これ、妹が毎月買ってる少女漫画の5月号の付録なんですけど、確か青井くんが好きって聞いてたんで』
『ではデートの計画はどこまで進んでるんですか先輩』
「・・・・・・(さすが単細胞)」
遠山先輩の手中に収まるのはアオの愛する真奈美ちゃんクリアファイルである。アオはそれを見た途端、掛けてもない眼鏡を上げる真似をして有りもしない知的さを滲ませようとしている。大失敗である。