アオハル紙飛行機
それは青井も同様のようであまり表情を変えることのない青井の眉間がグ、と寄る。今にも舌打ちが落とされそうな顔に女子生徒は息を呑む。
『アイツはないわ。ハルだけはないわ』
そのハッキリとした声に、私も先程全く同じ言葉をB棟校舎裏の東側で頬を赤らめた男子生徒に向けて吐き出したのを思い出す。
「アイツはないわ。アオだけはないわ」と。ある意味仲良しというか似た者同士というのか。いや腹は立つけれど。
その後も取り留めのない会話をした彼らは青井を残して女子生徒が去った事で告白は終了したとみなす。
奴がいなくなったら私も行こう。と思い双眼鏡を顔から離してちょっとしたハプニングを非道にも楽しんでいた自分に情けなくなる。
『よォ、ゴリラ専門ストーカー。あ、とうとう俺ら人間の事もストーカーするようになったのか』
「・・・少女漫画野郎ストーカーしても私にメリットないんですけど」
やっちまった。バレてた。コイツ目ん玉どこに付いてんだよ360度見渡せる系眼球かよ。
なんて強がりつつも内心焦りまくりな春井ことハル、私の元に淡々と面倒そうに、でも軽くお怒りな青井ことアオが気だるげに歩み寄ってくる。
今日も色白不健康、高校生男子特有の華奢な身体のラインに所々浮き彫りになる男の骨格。