アオハル紙飛行機




遠山先輩はどうやら先月から同じ学年の戸島 美和〈とじま みわ〉先輩と付き合いはじめ、次のGWが初めてのデートになるらしい。






『絶対失敗したくなくて、美和ってなんか少し変わり者で・・・』

「と、言いますと?」

『遊園地とか嫌いらしいし、かと言ってお家デートとかも嫌で、映画も絶対寝ちゃうとかなんとかで、どうしたらいいのか』

『いいじゃん映画行って寝た彼女をキスして起こせばいいじゃん』

「うわうぜーそれかなりうぜー何様だよお前ってなるわーないわー」

『んだとゴラァ、頭突きして気絶したお前をちゅーで起こしてやろうか?』

「頭突きで気絶するのアンタだと思うけど」

『ごもっともー』






ああもう、すぐ話が脱線する。と隣のアオを睨みつければ「あ?」と逆に睨まれる。美しい顔してなんて顔するんだ顔の無駄遣いだ。今すぐでろでろのアンパンマンフェイスにでもなればいいのに。






「美和先輩が好きなものとかってないんですか?」

『んー・・・あ、犬とかネコとかカメレオン飼ってるって言ってました』

「カメレオン?」

『はい。なんか美和が飼いたいって言ったらしくて、本当に彼氏の俺もよくわからない子です』






あはは、なんて困ったように笑う遠山先輩だがその顔は惚気全開幸せ全開である。それに釣られて微笑む私の隣では盛大に嫉妬満点で喧嘩越しで顎を突き出すアオ。やめて。






「動物好きなら、動物園とか無難なんじゃないですか?」

『あ、なるほど。でも動物園なんて小学生以来だしなあ』

『それなら大丈夫ですよ』







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