アオハル紙飛行機






私はアオの頬を、ぐにー、と引っ張る。







「ずっとずっと片想いしてる気持ち、好きな人がいる気持ち、アオはちゃんと知ってるもん。そんなことしないよ」






その真っ黒な瞳が微かに揺れて、徐々にいつものアオのふざけた瞳が舞い戻ってくる。つまらなさそうに顔をぶすくれさせたアオは私に頭突きする。









「いった」

『──そうだね、俺はハルなんかと違って馬鹿みたいに一途で臆病な男なんでね』

「・・・私だって一途なんですけどー」







頭突きされた額を抑えながらアオを睨みあげれば、私から距離を取ったアオ。そのまま机の上にある遠山先輩が折った紙飛行機を私目掛けて軽く飛ばしてくる。お腹あたりにとん、と当たって落下した紙飛行機。









『ばーか、一緒にすんじゃねえ。こっちは“報われない恋”してんだぞ』

「・・・アオ、自覚してたの?2次元は無理だって」

『はい黙れー。うるせえばーか。てかさ、お前こそなんであんなゴリラ好きなの?』







いつもの調子を取り戻したアオに私はムッとしながら紙飛行機をアオに飛ばし返す。それは変な方向に飛んでいってアオに当たるどころか床一直線である。それを何故か切なげに見下ろすアオ。







「あんなって言うな」

『ゴリラは否定しねーんだ』

「“晴天に辟易”だったんだもん」

『晴天に霹靂ね』







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