アオハル紙飛行機









『じゃ、じゃあ次どこ行く?美和と春井さんは何処がいい?』

「あ、」








しまった。逃げ忘れた。ここで上手いこと逃げようと思ったのに逃げられなかった上に、異様に気を遣うのが上手い遠山先輩に引っ掛かった。








『あー、すみません俺たち、これから閉園までゴリラ見続けるんで』

「あ、アオ」








後ろから淡々とした声が聞こえて振り向くと、先程まで雑草に話しかけていたアオがいた。アオは遠山先輩と戸島先輩にそれだけ言い捨てて返事を待たず、さっさと歩き出す。










「アオー」

『もうニットスヌードは触らせないからな』

「・・・あんがとね」

『おー』








逃げる口実で握られたアオの手は、いつもは喧嘩の助長で軽く叩かれたり、引っ張られたり、抓られたり、時々撫でられたり、だけど今日のこの手はアオで、でも、全然アオじゃないみたいで、思わず繋がれた手を見つめてしまう。








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