アオハル紙飛行機








「アオ」

『あ?ッだばぶっえっ・・・!』








救われたばかりで悔しくて、どうしようもないこの気持ちの矛先はやっぱりアオになる。私はアオのニットスヌードを引き上げてやり返すことしかできなかった。






後日。GW明け、いつも通りに双眼鏡を装備して部室の扉を開ければ嬉しそうに真奈美ちゃんクリアファイルを眺めるアオ。







「おつかれ変態」

『そちらこそおつかれストーカー。』

「遠山先輩から貰ったんだ?」

『おう!絶対やんねーかんな』

「大丈夫。心の底から要らない」








スクールバッグを机の上に置いた時に、ピンクの折り紙で作られたかなり歪な紙飛行機に首を傾げる。と、それに気づいたアオが「ああ」と思い出したように声を紡ぐ。






『さっきこのクリアファイル渡しに遠山先輩が来た時、隣に戸島先輩もいて「春井さんに」って置いてったよ』

「戸島先輩不器用なんだね。あ、カメレオン描いてある可愛い」

『え、それカエルじゃないの』







アオをスルーしてピンク色の紙飛行機を手に取り、深呼吸をする。私も、がんばります。






鯉に恋する系女子
─────────






< 72 / 421 >

この作品をシェア

pagetop