アオハル紙飛行機
夏子と言い合いをしながら、男子に囲まれて心底うざそうに何かを必死に言い返すアオに思わず笑ってしまった。
どんどんハイスピードで体力測定の競技を終わっていき、20mシャトルランは来週に回し、最後に女子は握力、男子は上体起こしになる。
『平野さんは左24kgで、5点。次、春井さーん』
「はーい」
先生に呼ばれて、握力計を渡される。右手に準備した時に先程のアオを思い出して笑いそうになるのを堪える。
「いきまーす。ふんッ!ぬぬぎぃいっ!」
身体の全ての力を右手に込める勢いで思いっきり握力計を握る。終わった後、周りの視線を不意に感じて先生に渡しながら見渡せば何人かの男子と目が合ってやばいあの踏ん張り顔見られたと恥ずかしくなる。
『春井さん37kgね、凄いわあ。10点』
「うっしゃあ!」
女子達はここぞとばかりに私を褒める。まるで自分が貧弱なのを微かにアピールするように。そんなのどうでもいいし、勝部先輩と同じ10点が欲しかったので問題は無いのだけれども。
左手も10点で終え、体力測定を終えて暇を持て余しながら座ってべらべら話す男女の塊に私も混ざる。夏子の隣に座って話しながら適当に視線を楽しそうなものを探すために働かせる。
「ちょっと夏子、あれ見て」
『え?』
「めっちゃ面白い何あれやばい。」