アオハル紙飛行機
マットの上で瀕死状態なアオを他の男子を呼んだ故原くんがごろごろ転がして退かす。アオはされるがままごろごろ転がる。
そして人を入れ替えて始まった男子の上体起こし。その隅の隅で除外されたように放置されているアオは長袖長ズボンのまま、マットの上で未だ動かず倒れている。
「おーい、アオちゃん」
私は立ち上がり、アオの元に歩く。寝転ぶアオに影を作るように上から声を振りかける。顔を横に背けていたアオがこれでもかと眉間にシワを寄せて不機嫌そうに私を射抜いた。
『あ゛ぁ?』
「死んだのかと思ったよ、上体起こしで」
『うっせばーか』
ご機嫌斜め急降下中のアオは掠れ気味の低い声でそれだけ言い捨てるとふいっと横を向いてしまった。
私は体育館シューズのままアオのさらさらな黒髪含め後頭部を軽く殴る。いて、と零されたアオの声はやっぱり不機嫌。
「人が貧弱野郎を心配してやってんのに」
『ほっとけばーか』
「・・・ごめんって」
私もアオと向かい合うようにそこに寝転ぶ。そして床に両肘をつけて頬杖を着きながらアオを見下ろす。
アオは私の言葉に少し驚いたように目を丸めると逸らした視線を再び私に舞い戻した。