アオハル紙飛行機







『春井さん今日も元気だね』

「まあね!あ、そうそう森さん。鍵を失くしちゃった子がいるみたいで、森さん見掛けなかった?」

『うーん・・・見掛けてないなあ』

「そっか、ありがとう!」

『これから天気悪くなるみたいだから気をつけて。見つけたら声かけるよ』








森さんとさよならして中庭へ戻る。その先には校舎の中から中庭へ顔出す3人とアオが話している。アオはいちごオレを飲みながらいつも通りの調子だが3人はこれ見よがしにキラキラな笑顔で話している。









『おじいちゃんなんだって?』

「森さんも見てないって」

『じゃあ池のところだな』

「つーかアオも探せよ」

『探してる探してる心の目で』

「見つかるかボケ」






声を掛けまいかどうか悩んでいたら、アオは私に気づくと私の元にさっさと歩いてくる。その背後にちらりと見えた彼女達の表情は先程と違って笑顔の欠片もなく私を見ていた。







「この池の周りだよね?」

『え?あ、うん!そうだよ』








池のところに着き、やはり校舎の中にいる彼女達に窓を伝って声を掛けると作り笑顔で返事をされる。







池の周りは少し大きめの石で枠取られていて、私は取り敢えずその周辺を歩き回って探して行く。







『ねぇねぇ、青井くん、明日までの英語の課題ちゃんとやったー?』

『・・・え。何それ初耳』







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