アオハル紙飛行機








『俺はいつも通り「真奈美ちゃんが好きだから」って振ったんだけど「春井さんでしょ」の一点張りで』

「どこをどう見たらそうなんのよーもー!アオは真奈美ちゃん病じゃん」

『・・・で、GWに遠山先輩達の依頼で偽装カップルやったことを勘違いして、こないだも聞かれた』






ほんの僅かに訪れた沈黙に、アオの罪悪感が垣間見えた。だからアオが空気を吸い込んで声と共に吐き出そうとした口を先に私の声で封じ込めた。








「アオのせいじゃない、謝ったら死ぬまで首締める」

『・・・・・・そら御免だな』

「正直本当に腹立つしさあ、とんだ勘違いだしさあ、あの池の泥水全部飲めよって感じだけど、」






アオの首にやんわりと腕を回してその見慣れた後頭部にゆったり顔を預ける。やっぱりそこから香るシャンプーの香りは落ち着く。







「ムカつくし、悔しいからこそ、あの人達とは同じ土俵になんか立つもんかって」

『うん』

「言い返したりやり返したりしたら、その場はスッキリするのかもしれないけど、後でもっと嫌で苦い思いするなって、あの人達の思うがままになっちゃうなって」

『・・・ん。』









アオの相変わらず興味の無いような素っ気ない返事。それでもちゃんと私の声を漏らさず聞いてくれる優しい声。







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