昨日までの私と今日からの私。
『要?私、退院したいな。まだだめかなぁ?』

「今日、一通り検査も終わったから、結果しだいで明日帰らせてって言ってみる?ここにいるほうが精神的に悪そうだし。引っ越しも明日おまかせパックで運ばれるから、すぐ住めるし。私、今日見てきたけど、なかなか良かったよ。オートロックで3LDK、お風呂も広いし、10階だから眺めも良かったよ。大学まで歩いて10分かからなかったよ。」

要は同じ大学なんだよね。

『うん、退院したい。電化製品は揃ってるの?』

「マンション用意した時に、威音のおばさんが業者に全部頼んで揃えたみたいよ。それにしても、将来威音が結婚して家族と住めるように3LDKなのかな。」

急にそんなことを言い出す要。

確かに一人暮らしに3LDKはないよね。

まぁ、分譲だから3LDKにしたのかな。

1LDKじゃ、もったいないもんね。

『1LDKの分譲はもったいないでしょ。売るときに3LDKのが売りやすいし。』

「それもそうか。てか、私も住んでいんだよね?」

伺うように聞いてくるから。

『要がいいなら住んでほしいな。』

笑顔でそう言うと。

「良かった!威音と二人暮らし、楽しみだなぁ。」

笑顔を返してくれる。

こんな些細な事が嬉しい。

返ってくる笑顔で泣きそうになるなんて。

どれだけ無関心がツラくなってたんだろう。





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