青空の下で
私達は校舎に向かって歩き始めると突然、後ろから男の人の声がした。
「俺にアッシーさせて、お前は自分の鞄も持たんのかい」
声がするほうに振り向くと制服をダラしなく着て、茶色い髪をフワフワ風になびかせてる男の子が視界に入る。
私が住んでいる村には絶対いないような子。
この学校にもこんな髪の毛をした子はあまりいないはず……
「紗枝ちゃん、そいつは無視していいから」
さっちゃんが私の制服の袖をツンツンと引っ張ったから「うん」と返事をして前を向いた。
さっちゃんの友達なのかな?
やっぱりここは私の住んでいる村とは違うんだ。
改めて緊張感が全身をおそう。
「今日から、授業始まるね」
「私、ついていけるか心配」
「ウチもだよぉ~」
他愛もない話をして教室の中に入ると「おーい、幸子ぉ~」と廊下から大きな声が……
私は自分の席に着きながら、さっちゃんのほうを見たけれど、さっちゃんは聞こえなかったのか、何の反応もしない。