青空の下で
ベトベトとした体をハンカチで拭いながら、玄関へ行くと……



私の下駄箱の前に岬君がいる。



どうして?



声かけたほうがいいかな?



キョロキョロとしていると「おう」と岬君に声をかけられた。



「今日、部活なかったみたいだね」



「あぁ。監督休みで」



「そっか……」



会話が続かない。



「帰り?」



「あっ、うん」



「じゃあ行こう」



「えっ?うん」



気まずい空気が流れる中、岬君は自転車置き場の前へと歩いていった。



私は自分の自転車を取り、岬君がいる所まで自転車を押していく。



校門の前に来ても岬君は何も言わない。



私はそんな空気に耐えられなくなり「じゃあまた明日」と岬君に背を向けた。



岬君と私の帰る方向は逆。



それなのに「話があるから送らせて」と私の後についてきた。



自転車を2つ並べて歩く私達。



あと少しで綺麗な夕日が見える頃だろう。



「手紙読んだ」



ボソッと呟く岬君。



そうだ!!私、手紙書いたんだ。



手紙のことを思い出すと、急に恥ずかしくなる。



「う、うん…」



「俺、怒ってなんかないから」



「そっか」



もっと気のきいたことが言いたいのに……



「いつも窓から練習見てるだろ?」



「あ……うん。気付いてた?」



「最初は誰かわからなかったけどな」



そう言いながら少し笑った岬君の顔を見れただけで私の顔も緩んでいく。

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