青空の下で
「サッカー好きなのか?」
「そういうわけじゃないよ。ルールとかよくわからないし」
「そっか。俺……原田がいつも見守ってくれてるような気がして頑張れるんだ」
「えっ?」
「サッカーが凄いとかって言われたことはあったけど、こんな風にそっと見守ってくれる人は初めてで……好きです。付き合ってください」
岬君は足を止め、私に向かって頭を下げている。
「えっ?」
「嫌?」
ブンブンと首を横に振った。
「じゃあ付き合ってもらえる?」
生温い風が私達の間をフワッと通り抜ける。
「はい」
その後、何の会話もないまま岬君は私を家まで送ってくれた。
「反対方向だからもういいよ」って何度も断ったけど「トレーニングになるから」って押し切られた。
私はこの時、君の事が好きって自覚していたわけではなかった。
ただ、輝いている世界に戻りたくて、君の側にいたかった。
そんな私は君のこと傷つけることしか出来なかったよね。