青空の下で
そしてこの日は暗くなるまで公園にいた。



学校をサボって家にいたなんて知れたら怒られるから、明日は辛くても学校に行こう。



さっちゃんはどんなことがあっても、味方だって言ってくれたから。



信じよう、さっちゃんの言葉。



信じてたのに……



次の日、自転車置き場にさっちゃんの姿はなかった。



いきなり重たくなった足を引きずりながら、校舎に向かう。



「紗枝ちゃん、良かった」



さっちゃんの声がした。



「今日、先に教室行ってたの。もう落書きはないから安心して」



さっちゃんは先に教室に行って、落書きがないか見に行ってくれていたんだ。



「ありがとう!!」って前を歩くさっちゃんに大きな声で叫ぶと、振り向いたさっちゃんは「友達なんだから当たり前でしょ」って私の手を引いてくれる。



教室に入ると、視線はやっぱり感じてしまうけど、私にはさっちゃんがいるから大丈夫。



「はよっ」



岬君がいつものように私に声をかけた瞬間、「やっぱりね」とか「原田さんって大人しそうな顔して」という声が聞こえてくる。



岬君と一瞬目が合ったけど、思い切り視線を逸らし、下を向いた。



「岬、おはよう」



私の変わりにさっちゃんが挨拶してくれる。



岬君は乱暴に鞄を置いて、机の上に伏せてしまった。



ごめんなさい。



でも、私にはできないの。



それから、岬君が私に話しかけることはなくなり、もちろん私からも話しかけない。



お互いに無視し続けて1ヶ月が経とうとしていた。



7月になると、学校祭があって、テストがあって、夏休み。



もう少し、もう少し。



夏休みに入ればみんなは私たちのことを忘れてくれる。



2学期からは今より普通にクラスにいれる。



だから、もう少し……



さっちゃんには「岬と、このままでいいの?」って何回も聞かれたけど、私は返事をしなかった。



だって、この時、君のことなど考えていなかったから。



自分を守ることで必死だった私は、君の優しい心を踏みにじっていた。



それでも君は優しくて、こんな私に手を差し伸べてくれたのは、君だったんだ。

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