青空の下で
「でもさ~今日の由香ちゃん大人っぽかったよね。ウチ敵わないや」



今日の由香ちゃんと紀子ちゃんはいつもとまったく違っていた。



春樹君と同じくらいの色に染めてある2人の長い髪の毛には、ふわっとウエーブがかかっていて、白い肌を強調するような黒のビキニを着ていた。




ピンクのマニキュアをした手は、春樹君や岬君の腕に絡められていて、その手首にはキラキラと光るアクセサリー。



大人の女の人。



私たちとは違う。



女の子ではなく、女の人。



そんな2人見て、私達は心の中で勝ち目はないって思ってしまったんだ。



そう思っていたのはさっちゃんだけではない。



私も同じ……



「でも、春樹君はさっちゃんのこと好きなんだよ?大丈夫だよ」



「そうかな?前に進むって言ってたし、由香ちゃんと付き合ってるのかもしれない」



「さっちゃんは好きなんでしょ?好きな気持ちに気付いたんだよね?」



「ウチ、春樹のこと好きなのかな?」



もう一度さっちゃんが私に尋ねた。



きっと自分自身に尋ねているんだ。



「そうだよ。やっと気付いたか。馬鹿幸子!!」



「「えっ?」」



背後から男の人の声がして私達は同時に振り返る。



「春樹……」



我慢していたさっちゃんの涙は春樹君の姿を見た瞬間ポタポタと地面に落ちる。



「紗枝ちゃん、幸子と話していいか?」



「うん」



私は立ち上がり、みんなの元へ戻ろうと足を進めた。



「待って!!紗枝ちゃんもいて!!」



さっちゃんは顔を真っ赤にして叫んでいる。



私は振り返り「大丈夫だよ」と微笑んだ。



「原田」



「岬君。少し話そう」



「うん」



春樹君と一緒に岬君も来ていたのだ。



少し日焼けした岬君の体に心臓が高鳴る。



目のやり場に困るとはこういうことだ。



岬君は色々と話しかけてくれたけど、声は右から左へと抜けていく。



私の耳には自分の心臓の音しか聞こえない。



せっかくこんなに近くで話せているのに……

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