青空の下で
でも、それも長くは続かなかった。



さっきも美和ちゃんが言っていたように、競泳用の水着になる事で私は再び噂の的となってしまう。



“男好きの女の子供は露出好き”と……



その当時私に水泳を教えてくれていた先生はやめたほうがいいと言って来た。



そんな思いをしてまでやる意味がないんじゃないかって。



今思うとただ私に泳ぐ事をやめさせたいだけだったんだと思う。



私に教えているこの先生も私と関わっていれば村の人達からよく思われない。



私は村中から嫌われる厄介者だったから……



小さな村では些細なことが大きな噂となって人権を脅かしていく。



私の居場所はもうどこにもない。



そして、その噂に耐え続けて泳ぎ続ける事もできなかった。



私は中学3年生の春、大切な夢を自分の手で離してしまったんだ。



ふぅ~と空を見上げると、もう真っ暗な頭上。



この村は星だけが綺麗に見える。



いい事といえばそのことくらいかな。



空気が綺麗だとか、静かでいいとか外の人達は色々と言うけれど、私にとってこの村は酸素の薄い息苦しい場所でしかなかった。

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