裸足のシンデレラ
理事長の言葉に茜が少し顔をあげると父は穏やかな顔をしながら庭園の植物を見ていた。



「妻の笑顔を見たら、今までのどろどろとした気持ちが消えてなくたって行くようだった・・・。笑顔の妻は、笑顔のまま、お前の部屋に入っていったよ。現実とそっくりの部屋なのに一つだけ夢の中で違ったことがある。」



父がそう言って茜を見た。



「その部屋には鍵がなかった。」



茜の瞳から涙が流れる。
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