裸足のシンデレラ
「母さん、体調はどう?」




司の声にも母は反応せず寝たままだ




瞼は開いているのに意識が朦朧として焦点が合わない




ずっと使ってきた薬が原因で数年前から意識が朦朧としている




それでも司は母に話しかけ続けている




「夕べは急患がきて大きい手術を成功させられたんだ。チーフからも誉められたよ。俺、頑張ってるよ。母さんの体もいつかきっと治してみせるから。それまで諦めんなよ。」




司は痩せ細った母の手を握った




「またがさがさになってる」





ベッドのサイドボードから慣れた手つきでハンドクリームをだしマッサージしながら塗っていく





「あったかいな。母さんの手。俺の手は母さんに似たのかな。父さんかな。そういえば明日は父さんの誕生日だったよな。ケーキ買ってくるよ。明日は。母さんの好きなモンブラン買ってくるから、楽しみにしててな。」




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