炎のごとくっ!
米子から歩いて30分して来週から俺が通う高校に着いた。

「結構良い感じの学校だねー!鳥取南って高校なんだね」

と良いながらスマホで俺の通う高校を検索する柚。

「およ?偏差値62の学校でランクAなんだね!凄いね!」

「凄いのは学力だけだからな。運動部の方はパッとしねぇから」

自分の通う学校だ。当然、柚より俺の方がこの学校について調べている。

吹奏楽部は全国大会常連、文化部も全国大会に行くところも結構ある。ただ、運動部で全国大会行っているのは女子が多い弓道部だけだ。

運動部が盛んでは無いのは放課後の部活でグラウンドを使う部が多いからだ。だから使うスペースが少なくてやりたい練習が出来ない。

野球部の練習だとグラウンドのほとんどを使うことになるから特に守備練習が疎かになる・・・いや、打撃もか。

専用グラウンドが無いのはかなり痛い。

ただでさえ、野球過疎地域の鳥取なのにその上練習場所の確保も難しい。更にこの高校は進学校だから夜6時以降は強制的に下校させられる。

まあ、家に帰ってから自主練習すれば良いからそこんとこはどうでも良い。しかし、この高校の野球部に入るやつが自主練やるような熱意のある奴ばかりとは思えんし、弱い高校は部員の熱意も無いからキツいな。

「ねえねえ、柚も来年になったらここに通う!」

「好きにしろ」

俺は冷たく突き放す様な言い方をした。そりゃ、お前の頭なら余裕だろうよ。

こんなド田舎だ。夜は何かと危ないしお兄ちゃんが一緒に帰ってやらなきゃ襲われるかも知れん。知れんけど・・・ここで満足行く練習出来ないのはキツいな・・・と今の俺は自分の事しか考えることが出来ない・・・柚の事を相手する余裕がないのだ。

「今日は学校休みなのかな?」

「そりゃ春休み期間だからな。もう帰ろうぜ。」

「そだね・・・ところでお兄ちゃんはここには自転車で通うの?それとも電車?」

「多分、電車かな。駅から近いし自転車だと1時間は掛かるからな。」
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