箱庭の世界
プロローグ
───彼は嗤った。
『なな』
私の名を呼ぶ彼はとても愛おしそうに、狂おしそうに私の肌を傷つける。
『三年だ』
白を赤に染め上げる“死神”は、艶やかに囁く。
『三年たったら、』
とても楽しそうに、嬉しそうに。
『戻っておいで』
──そのときは迎えに行くよ、と。
彼は鮮やかに嗤った。
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