箱庭の世界
ガチャ
時刻は真夜中ちょっと過ぎ。
ゆっくりと音をたてないようにドアを開け、抜足差足忍び足。
独り暮らししているとは言っても私はめったに帰らない。
それこそ仕事が終わった後にシャワーを浴びて着替える為に帰っているだけ。
けれど、
「……ん?」
「……あ」
私の他に住民がいる。
「ごめん。起こしちゃった?」
「……いや、起きてた……」
嘘つけ。
絶対今まで寝てたでしょ。
今の寝起き全開の声でしょ。
でも、まぁ。
「……そう」
深く追及はしない。