箱庭の世界


だから、ほら。

「…もう行くのか?」

ポチも深くは聞かない。

全身血だらけの女が夜な夜な徘徊していても自分が知らないうちに帰ってきて知らないうちに出ていっても。

それがうちらの“契約”だから。

「冷蔵庫にあるものは勝手に食べてもいいし、金のことなら気にしなくていい」

「……ああ」

「出ていきたいなら出ていけばいいし、居たいなら好きなだけ居ればいい」

「……ああ」

「遠慮はいらない」

「……ああ」

「ポチ」

「……あ?」

「行ってきます」

「……行ってらっしゃい」

これがうちらの関係。





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