箱庭の世界


真夜中ということもあり、物音たてないように静かに玄関の門を開ける。

神殿に入っても見渡す限りの黒、黒、黒。

これでもかってぐらいに黒で覆われたインテリア達が出迎えてくれた。

頭上にはブラックダイヤモンドの装飾が施されたきらびやかなシャンデリアが輝き、黒曜石でできた大理石の床を最高級の黒いカーペットが覆い尽くし足音を吸収してくれる。

壁も床も天井も。

全てが黒によって囲まれたこの空間は一種異様な輝きを誇っている。

無駄に広いこの屋敷の中で方向音痴の私が無事に自室まで辿り着くには至難の技で。

いつもショウが誘導してくれる。

もう5年も入り浸っている癖にいつまでも慣れない私にほとほと呆れる。

「……こちらです」

「………ん」



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