カタブツ皇帝陛下は新妻への過保護がとまらない
眉尻を下げて戸惑った笑顔を浮かべたモニカだったけれど、リュディガーはまっすぐに瞳を向けて言った。
「そんなことはない。あなたのブロンドにそのブローチは映えるはずだ。気軽につけるといい」
そのとき、モニカは初めて気づいた。リュディガーの瞳が翠色だったことに。
遠くから見たり、前髪の影になっているときには黒色に見えていた。けれど、光の射し込む場所で近くから眺めると、どうやら彼の翠眼本来の色が見えるらしい。
(……なんて綺麗なの……)
胸が大きく高鳴った。痛いほどの高鳴りは、モニカが初めて知るものだ。
ドキドキと煩い鼓動を感じながら、モニカはリュディガーに魅入った。
手元のエメラルドと同じ色、けれど彼の瞳はもっと深くもっと美しい。見つめ続けていると、うっとりと吸い込まれそうになってしまう。
「……どうかしたか?」
怪訝そうに眉をひそめたリュディガーに声をかけられて、モニカはハッと我に返った。
「いえ、なんでも……」
慌てて視線を逸らすも、胸の高鳴りは治まらない。自分の心臓が壊れてしまったのではないかと焦ったけれど、嫌な気分はしなかった。むしろ、嬉しくてたまらない心地だ。
「あ、ありがとうございます。リュディガー殿下。大切にいたします」
手の上のブローチをきゅっと大事に包み込む。ただでさえ素敵なものだけど、彼の瞳と同じ色だと思うと、ますますこの贈り物が嬉しく思えた。