オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
けど、私は負けたくなかった。
とにかく負けたくなかった。
だから努力した。旅行という商品をいかに売っていくか朝昼晩考え、流行やニーズに敏感でいるために週末も返上して様々なメディアの情報を吸収し続けた。

生半可な頑張りじゃ足りない。
好きだけでやっていけるほど、この仕事は簡単じゃ…


「いやいや、俺は旅行が好きなだけだから」


私の一択は華麗に粉砕された。

…おいおい向居柊介…。


「えー! 好きなだけじゃ難しいから、大変なんですよー!」

「そうだそうだ! 俺なんかむしろ旅行がキライに…」

「うわリーダー、それは言っちゃイケナイ」


すずしげーな笑顔を浮かべてサクリとリーダーにツッコむ向居だったけれど、いくぶんか真面目な顔になると続けた。


「いや、あくまでそれは根本のもので、やっぱり必要なのは客の目線に立って考えることと入念なリサーチだ。時勢や流行をただ知るのではなく、世間の風潮やニーズも絡めて理解しなければならない。そしてそれを踏まえた上で、地域の特性やイベント、店や料理や品物やらを徹底的に調べて、これだと思ったものをピックアップする」
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