オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
私はしげしげと向居の横顔を眺めた。
完璧に整った横顔。凛とした黒い瞳。
仕事の時よりすこしラフにセットした髪が、春風に穏やかに揺れる。
腹立つくらい、垢抜けててかっこいい。
この容姿も手伝ったから、私は向居のイメージを誤解していたのかもしれない。
胸がざわつく。
向居に対してとってきた態度への罪悪感ってやつだろうか。
と見つめていると、不意に向居が横を向いたまま苦笑った。
「分かったって、花街通りはゆっくり見て歩こうな」
そう言うと手が伸びてきて私の頭を乱暴に撫でた。まるで駄々っ子に対する扱いだ。
「べ、別にすねてなんか…! 花街通りはあとで見ればいいって言ったでしょ!」
「じゃあそんな恨めしそうに見てくるなよ」
「見てな…!」
いや、見ていた。
見入っていた。
私の知らなかった向居に魅入ってしまっていたんだ。
「別に…見てないわよ」
「そうだ、あと忘れているけど、名字で呼ぶのも無しだからな」
「は?」
「恋人設定なんだから、俺のことは柊介でいいって言ったろ、都」
そうして微笑を浮かべて不意打ちのように私を見下ろしてきた向居に、ドキリ、と胸が高鳴った。
日差しを受けた端正なその笑顔を直視できなくて、私は目をそらしてそっけなく言う。
「…分かったわよ」
柊介。
そう口にした瞬間ほのかに胸に灯った熱に、私は気付かないふりをした。
完璧に整った横顔。凛とした黒い瞳。
仕事の時よりすこしラフにセットした髪が、春風に穏やかに揺れる。
腹立つくらい、垢抜けててかっこいい。
この容姿も手伝ったから、私は向居のイメージを誤解していたのかもしれない。
胸がざわつく。
向居に対してとってきた態度への罪悪感ってやつだろうか。
と見つめていると、不意に向居が横を向いたまま苦笑った。
「分かったって、花街通りはゆっくり見て歩こうな」
そう言うと手が伸びてきて私の頭を乱暴に撫でた。まるで駄々っ子に対する扱いだ。
「べ、別にすねてなんか…! 花街通りはあとで見ればいいって言ったでしょ!」
「じゃあそんな恨めしそうに見てくるなよ」
「見てな…!」
いや、見ていた。
見入っていた。
私の知らなかった向居に魅入ってしまっていたんだ。
「別に…見てないわよ」
「そうだ、あと忘れているけど、名字で呼ぶのも無しだからな」
「は?」
「恋人設定なんだから、俺のことは柊介でいいって言ったろ、都」
そうして微笑を浮かべて不意打ちのように私を見下ろしてきた向居に、ドキリ、と胸が高鳴った。
日差しを受けた端正なその笑顔を直視できなくて、私は目をそらしてそっけなく言う。
「…分かったわよ」
柊介。
そう口にした瞬間ほのかに胸に灯った熱に、私は気付かないふりをした。