オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
城址公園をあとにして私たちが次に向かったのは、この街屈指の人気観光スポットである花街通りだった。
工芸品である漆器や織物の工房とそれを卸す問屋で形成されていた通りを昔の風情そのままに観光地化した所で、定番の土産物店や飲食店が立ち並んでいる。
今日のランチは、この通りの一角にあるちょっとグレード高めのお料理屋さんに予約をしていた。
「ああでもなんか、緊張してきたなぁ」
と思わずぼやいた私に、向居は呆れた表情を浮かべた。
「なんでランチごときに肩ひじ張る店なんて予約したんだよ」
「だって、ワンランク上の旅行よ? せっかく情緒ある街に来たんだから、ランチだってこだわりたいじゃない」
案の定向居は「俺にはよくわからん」と言いたげな表情を浮かべ、ふと観光客でにぎわう通りの一角を見つめた。
「じゃあそんなに体裁を取り繕いたいなら、あれはどうだ?」
「え、あれ?」
向居の視線の先を見やると、『着物レンタル』という看板が。
「着物…!?」
「着れば無駄に堂々とできるだろ」