オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
ハイスペッグイケメンにありがちな悩みね。
ふぅん、いい男過ぎるのも、自分の首絞めちゃうものなのねぇ。

うんうん、とひとりで納得して「大変ねぇ」という表情でいる私に、向居がしかめっ面をして「ちがう」と言い切った。


「本命に縁がないんだ」


あー。

なるほど。
あるある、そう言うパターン、確かにある。


「高校の頃好きだった同じ部のマネージャーは、友達だったキャプテンにとられた」

「あーあるある」

「大学の時もそんな感じ。たいていは友達にとられたり、すでに彼氏がいたり」


あるあるある。
いるなぁ、そういう損なポジションの人。
自分だけが気づいてしまって、友達と険悪になるくらいならって譲ってあげたり、彼氏を傷つけてまで積極的に行くことに抵抗を感じて諦めたり―――自分がそういう損な性格をしていることにすら気づいていない、いい人。
向居もきっとそういうタイプの人間だ。
ちょっと前ならともかく、今なら、すんなり納得できる。

気の毒だけど、ほんのり胸が温かくなって、心なしかすねるような表情の向居に微笑んだ。
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