オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「向居って学生の頃からけっこうモテてたでしょ」

「まぁ割とな」

「だから当の本命ちゃんは、『向居くんは私には遠い人』って思っちゃうのよね」

「だからアピールしても気づかれないのか?」

「そうそう」


深々とうなづいて見せる私を見る向居の目は、なぜだか物言いたげな色を浮かべている。


「…単に、俺が好きになる女が共通して鈍感という線は?」

「へ? んー…まぁ、それも無きにしろあらず?  天然ちゃんが好みとかなら」

「別に…天然ではないと思うんだけどな…」


と、まじまじと私を見つめる向居。
さっきからこのじとりとした目はなんなんだ。私に八つ当たりされても困るんだけどなぁ。


「まぁ、なにはともあれ、相手が気づくまでガツンと攻めていくのが男ってもんじゃないの? 天然ちゃんならすこし強引なくらいがちょうどいいし、そもそも、女はそういうのに弱いものよ」

「へぇ。都も?」

「そりゃーねぇ、あはは」

「なるほどね。それはいいアドバイスだ」


じとりとした目に、急に光が走る。おお、ハンターと化した男の目だわ。
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