オプションは偽装交際！～大キライ同期とラブ・トラベル！？～

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「もしかして、逢坂か？」


向居が近づいてきた。
焦る私とは対照的に、まるで駅前ででも会ったかのような余裕の態度だ。

これでもかとハイスペッグオーラを放っている仕事中に対し、オフの今はそのシールドみたいのが、若干解かれている感じがする。
とは言っても、なにもかもお見通しのような余裕綽々といった印象は変わらない。
私は身構える。


「すごい偶然だな。驚いたよ」


「それはこっちの台詞よっ」とどついてやりたいのを抑えて、私は仕事用の笑顔を浮かべた。


「ほんとね、私も驚いちゃった。まさかこんなところで向居に会うなんて」

「どうしてここへ？」

「私？　私は…」


思わず口ごもる。

どこまで言えばいいのだろう。


向居にすべてを言うには抵抗があった。
実は今回の旅行には、彼氏とデートという以外に別の目的があったのだけれど…いやいや、隠すなんて面白くない。


「私は例のロケハンで来たの。ほら、次の企画持ち上がったじゃない？　今度はあれに参加してみようと思って」