オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
気を取り直して、旅の目的を白状した。
そう。
旅行といっても、これは仕事のためでもあるのだ。
東京から三百キロメートル離れたこの街は、城下町の風情を色濃く残した小京都として有名だ。
魅力的な古い街並み、豊富な特産物を使った美味しい料理、そして良質な温泉―――観光地としてばっちりの要素を誇っているのだけれども、唯一、難だったのが利便が悪いことだった。
けれども、最近話題になった新幹線延伸によりこの街が通過駅に加わったことで、その難が解消されることになった。
そうとなれば、旅行会社はこぞってこの新たな市場を広げようと躍起になった。
もちろん我が社ご多分に漏れず。
ということで、この街をピックアップした新たな商品を作るべくテーマとしてあげられたのが、『古都ですごす癒しの旅』というものだった。
古都のしっとりとした風情をいかして、大人が満足できるような上質な内容にする、っていうのが狙い。
そうとなればまずはロケハン。
肌身で実際に体感しなきゃ進むものも進まない、というわけで乗り込んできた現在なのだった。
「さすがは逢坂。もう次のリサーチを始めているんだな」