オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
元から切れ長の目が余計に鋭くなる。こんな状況の中で見せるその顔つきは怖いくらいなのに、それだけにセクシーで…。
睨まれた小動物みたいに、私は呼吸まで止めてしまう。

その張り詰めた空気を弾くように、向居の指が私の頬にふれた。

固い感触の指の腹で、目尻から頬をそっと撫でる。さっきまで私が流した涙の痕を―――。


「泣いてたのか…?」


胸が弾けた。


「なにがあった? どうして泣いてる?」

「な、泣いてなんかないわよ」


咄嗟に返した声は上擦ってしまった。
向居の低く掠れた声が、真剣な色を含んでさらに低くなる。


「彼氏か?」


さらに胸が跳ねる。その動揺のせいで不自然に押し黙ってしまい、


「…ちがうわ」


やっと絞り出した声も震えてしまった。
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