オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
ライバルに「仕事の準備をしてました」なんて正々堂々と伝えてやった私に対して、向居のこの平静な反応。
その余裕の笑みはなによ。イケメンだから余計に嫌味だ。

どうせハイスペッグな向居サマのことだから、私みたいに早々着手したりはしないんでしょうね。
今日は売上一位になったお祝いとしてプライベート旅行にでも来たのかしら?


「奇遇だな。俺もリサーチのために来たんだ」

「へ?」


予想外の言葉に思わず仕事用スマイルが剥がれた。


「今回についてはめったにない市場拡大のチャンスだし、早めにリサーチに取り掛かろうと思ってな」


余裕の態度でいながら、なんて抜け目ないヤツ。

にわかに芽生えた焦りに煽られ、胸がざわつく。…なに弱気になっているのよ私。


「やっぱり逢坂もやる気満々だな。これは余計に火がつくな。俺、逢坂が参加している企画には片っ端から挑戦してやりたいんだよな」


は? どういうこと?
つまり嫌がらせ? 
じゃあ私が狙った一位をことごとく奪ったのは、イジワルでした、ってこと?

イケメンの微笑からは、冗談なのか本気なのか真意をつかむのは難しかった。
「私をこれ以上馬鹿にして、そんなにおもしろいわけ?」となじりたくなるのをこらえ、私は再び仕事用スマイルを向けた。
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