オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
けど、どう上手く言い繕ったって、向居には見え透いた嘘だと気付かれてしまう気がした。
そう思うほどに向居の瞳の光りが、強く鋭く私を刺し貫いている。
そう、ずっと前から、どんな時だって、向居は私の心の中を見透かしていた。私の心に押し入りたい、自分を焼き付けたいと強いるかのごとく、熱いまなざしでもって。


「…本当に、ちがうのか?」

「…」

「…俺はお前のそんな顔、一度も見たことがない…」

「…」

「頼むから、今だけはそんな強がりは見せないでくれ、都」


その口ぶりは、まるで告げているようだった。
『いつだって、お前だけを見ていた』と。

心が押し流されていく気がする。向居の熱に、ただひたすら純粋なその想いに。

だめ。
だめよ都。

必死に言い聞かせる私の胸には、二つの痛みがあった。締め付けられるように甘いものと、泣き出したくなるようなしくしくとした痛み。

私は向居になど相応しくない。
私のような卑怯者が、向居のそばにいていいわけがない…という罪悪感が。

これ以上翻弄されたくなかった。この状況はここで終了すべきだ。向居が終わらせなくても、私が終わらせなければならない。
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