オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
フロントに駆け込んだ時は十二時を過ぎていた。
けれども、一時間以上も遅れたというのに、追加料は取られることなくチェックアウトできた。本当にこの旅館のサービスには頭が下がるほどだ。

ほっとしたものの、食べ逃した朝食には無念が残る。
ああ、ここは朝ごはんのバイキングも地元食材を使っていて美味しいって評判だったのになぁ。残念。

せめてお洒落な喫茶店で軽食でも、と思ったけれど、お腹もがっつりすいていたので、結局、県道沿いのファミレスで朝食券昼食。
ああテンション下がる。今日は最終日だと言うのに…。

すでにランチメニューに切り替わっているメニューから料理を注文する。
旅館の仲居さんとは雲泥の差で愛想の悪い店員さんが注文を受けて去っていくと、私と向居の間に沈黙が訪れた。

チェックアウトに追われてバタバタしていたけれど、今こうしてファミレスに入り注文を終えて向居と向き合っていると、

なんて気まずい。

恥ずかしい。昨晩のこと。
よりによって向居の前で泣くなんて。仕事の場はおろか、基樹の前だってあんなに取り乱したことはなかったのに。
< 187 / 273 >

この作品をシェア

pagetop