オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
酔っていたにもかかわらず、抱き締めてきた向居のぬくもりや肌の固さ香り低い声、そして言葉を、ありありと覚えている。

ちらちら窺ってみるが、向居はなに食わぬ顔でスマホを眺めている―――ふと、その顔を見て考えがよぎった。


「ねぇ、もしかして向居、チェックアウトが過ぎてたことに気付いてた?」

「ん?」


向居はちら、と私に視線をやるとまたスマホに視線を戻して、


「気付いていたよ」

「なっ…! サービスしてもらえたらよかったけれど、起こしてくれてもよかったじゃない…!」


そのあっさりとした返答に呆気にとられながら言う私に、向居は悪びれもせず微笑んだ。


「だってお前の寝顔があまりにもブサイクで可愛かったから、つい起こせなくて」

「はぁ…!?」


やっぱり寝顔見てたのね…! イジワル! と顔を真っ赤にさせて睨むと、向居は「と言うのもあるけれど」と続けた。


「俺もまだ酔いが残っていたから横になっていたかったんだよ。ああ気持ち悪ぃ」


と、テーブルにつっぷした。
そう言われては、こちらも弱い。
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