オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「それで、当日キャンセルはもったいないし、仕方ないから一人で回ってたのよ」

「それは残念だったな。逢坂企画の旅行を逃すなんて、あいつも運が悪いな。と言うことは、彼氏の分の旅費は損してしまったってことか」

「そうよ」


相槌の声もつい尖る。
当日ドタキャンは交通費も宿泊費も全額負担だ。つまりは基樹分の旅費は捨てたようなものだ。

あいつからその代金をもらわずに来てしまったから、とりあえずは私が払っておかなければならない。
別れる前に、この金額だけは絶対に回収するつもりだけれど、旅行期間の私の出費はそうとう痛いものになる。

ああ、考えるとはらわたが煮えくり返る…。

といっても向居の手前、みっともなくヒステリックにはなりたくない。
ここは理解のある彼女を演じないと、ケンカ別れしたことまでばれてしまいそうだ。
私は努めてカラリと声を明るくした。


「でもまぁ仕事だし仕方ないわよね。私も九割方は仕事のために来たんだし、ロケハンするなら」

「穴埋め、俺がしようか?」

「むしろ一人のほうが動きやすいし、ま言っちゃえばさ」

「俺がその分の費用を出す」

「いつも通りの一人旅…」

「俺と一緒に旅行しないか?」

「………は?」


はい!?
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